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寄り道のススメ

最近は出かける際にルートを入力して、カーナビの案内に沿って走る方も多いと思います。電車での移動でも、乗換駅や乗り換えに便利な乗車位置までアプリで教えてもらえ、目的までの最短ルートを教えてくれます。時間が限られている場合は、上手に使いこなせば時短になって、時間を有効に使うことができる一方で、寄り道することが無くなって思わぬ出会いをしなくなったと感じることがあります。

個人的には以前から出かける際に目的地までのルートを決めないことが多く、車や自転車 はたまた歩いていても思い付きで道を曲がったり、あっちに何かありそうだと遠回りしたりすることが多いのですが、時々思ってもいない出会いがあったりします。

15年ほど前に歩いていて出会ったのは、店をたたむ居酒屋さんの前に置かれていた志野の鉢。
「ご自由にお持ちください」と書かれていた為、喜んで持ち帰り、今でも大事に使っています。
自転車で走っていた別の時には、椿の色絵角鉢に出会うことがありました。やはりご自宅の前に「ご自由にお持ちください」とあり、お店で購入するときは選ばない絵柄に出会え、狭い世界を少し広げてもらった感じがして、なんとなく得した気分になったものです。

出会いは、人・物・景色 いろいろな形で現れます。つい先日も車で移動中、ふと考えていたのとは違う道を選んだ時のこと、地元で親しまれているであろう神社に樹齢何年だろうと思う大きなスギの木を見かけ、思わず車を下りて境内に入りました。

大きなスギは神社入ってすぐに2本あり、町指定の天然記念物だそうで、立て札には根回り男杉「6.47米」女杉「8.89米」と記されていました。樹齢は八百年と記されており、立て札が昭和56年の物なので、12世紀頃から かの地にあったのかと、感慨深い思いで見ていました。その奥、神社の本殿回りもかなり古いスギが多く、一帯 荘厳な雰囲気で、いわゆるパワースポットになるような神聖な空間でした。他には人がいなかったので、神聖な空間を独り占めした贅沢な時間を過ごしました。何年も地域を守ってきたスギには 大きな力があるように気がします。
一歩境内から外に出ると、話しながら散歩をしている方もいれば、自宅周りを草刈機で作業している方も見かけ、余韻を楽しむ間もなく早くも世俗に戻った感が 少し残念でしたが、
今日は良い出会いがあったと心温かく家路につきました。

タイパも良いですが、時には寄り道をしてみるのも良いものです。